米国におけるアニメ

提供: Hideki Saito Wiki Japanese
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米国におけるアニメに関して考察。とはいっても、シアトル周辺と一コンベンションの主観的な話なので、地域差はあるはずなので注意。

販売と配信

ファンサブ

  • 2000年代後半まではファンサブと呼ばれるファンによる字幕の海賊版が広く出回っていた。
    • VHSの時代から存在し、やがてDVDとなり、ネットによる共有に移っている。
    • ネットによる配信が盛んになった暁には日本での放送数時間後には字幕がついて出回る、という事態もあった。
    • ファンサブは配信が多くなったこともあり、昔と比べると縮小しているらしいが、それでもまだ続いている。
    • ファンサブから配信の字幕業界に入った人も多いらしい。
      • ファンサブの字幕の質はピンキリなのだが、時々合法的に配信している会社がファンサブのものを流用したなどで騒ぎになることがある。
  • TVでの放送はほとんどなく、あったとしても放送コードにより大きな改変を余儀なくされたものも多い。
    • そのため、放送があったとしてもコアなアニメファンはファンサブを続けていた(いる)らしい。
      • ただし、こういったものは多くはDMCA通知を出されてすぐに取り下げられることが多い。
        • 検索をかけると「DMCAにより削除〜」みたいなのが表示されるのはこれが原因。
        • 日本側の論調で「ある会社はDMCA通知を出すが、他社のものは放置する」というようなことを書いている人がいるが、DMCA通知を出せるのは当該作品の著作者かその代理人だけなので、(権利を持っていない)他社のものは放置するのは当たり前で、反対に出すと法的に問題になる。

テレビ放送

  • Cartoon Networkの深夜枠のAdult Swimではアニメが一晩中(とはいっても同じものをローテーションで繰り返し)放送されていた。
  • Anime Networkという、アニメばかりを放送するTV局(というか、CATVの番組配信局)があったが本放送がはじまったという話は聞かなかった。
    • 一応局としてはまだあるらしく、CATVのアドオンパッケージとして入れられるらしい。配信形態はオンデマンド配信。
    • 一般的なCATVで6.99ドルのアドオンパッケージ。最近CATV解約する人も多いのに、この値段と内容で加入者がどのくらいいるのかは不明。
      • 配信期間が短い。後述のネット配信の方がタイトル数も多くて便利だし……自然とそっちに流れるのではないか。

ライセンス

  • 作品は地域配給権がライセンスされることで各社より配給される。
    • 以前は日本の放送が一通り終わってからライセンスがなされるか、それが発表されることが多かったが、最近では放送前や放送中に行われることも多い。
    • 現行放送中のもの以外にも過去の作品が突然ライセンスされることもある。(例:GS美神 極楽大作戦!!)
    • ライセンスされた会社が無くなってしまったり、配給を止めるとライセンスが宙に浮いてしまい、(特に販売前に打ち切られた場合)DVDなどの形で製品化されないことがよくある。
      • オンライン配信されている場合でも期限が切れて配信が止まり、完全に合法的な視聴方法が閉ざされてしまう場合がある。(例:日常。最近他社によりBlu-rayでリリースされた)
      • ある程度の人気作の場合、他の会社が引き継ぐ場合もあるが、数年後、という場合も多い。
    • 劇場公開される場合もあるが、その場合、ソフト販売が大幅に遅れる場合がある。(例:新劇場版エヴァンゲリオンQ、出るまで三年を要している。)

ソフト販売

  • DVDなどのソフトの販売も行われている。
    • ソフトの値段は日本に比べると安い。1クール分が30ドルから40ドル。(Blu-rayは少し高くなる。)
      • 最初から全部入りでコンプリートコレクションとして販売するか、4話程度ずつ順番に販売した後に後ほどコンプリートコレクションとして発売されることもある。
        • 一期目が終わった後にライセンスが宙に浮き、後に一期、二期目をあわせたものがコンプリートコレクションとして発売される例もある。(例:侵略!イカ娘)
        • コンプリートコレクションはBlu-rayとDVDを含んだコンボボックス仕様で発売される場合が多い。
        • コンプリートコレクションの値段は通常50ドル~80ドル程度。
        • 最近はコンプリートコレクションのみで販売されるケースが多い。
      • プレミアム要素を多くして、日本と同じような価格で売る場合も散見されるがまだケースは少ない。
        • ただし、その場合でも話数は多い。(ソードアート・オンライン、リミテッドエディションは1~7話を含んでいる。)
        • 日米に関してはBlu-rayのリージョンコードが同じであることを見越して、日米同じものが販売されるケースがある。日本版に英語字幕が含まれている場合はそのパターン。
        • このような場合、値段は100〜200ドル程度。
      • 特典映像などはほとんどない。内容的には本編、クリーンOP、クリーンEDが入っている場合が多い。ほとんどの場合、同じ会社の他の販売作品の広告が入っている。
      • DVDは字幕が外せたので、日本語音声で字幕なしで見られたが、Blu-rayの場合、その仕様によって字幕を強制できるようになったため、それを行っている作品が増えている。
        • 契約面の制限らしい。
        • 尚、英語吹き替え音声が存在する場合、字幕は吹き替えに切り替えることで消せる。
        • 作品によって字幕・吹き替え、字幕のみ、という場合がある。
          • 工数がかかるためか、比較的マイナー視される作品は吹き替えがつかない。
          • 後から吹き替えが入ったものが販売されたケースも。(例:CLANNAD、この場合は交換キャンペーンが行われた。)

ネット配信

  • 最近はネット販売がほとんどで、店で見かけることが少なくなってきた。(ネットの各ショップなどからは引き続き購入できる。)
    • 昔は映画コーナーに一緒に並んでいることが多かったが今は数が少ない。
    • ジブリ系などは置いてあることが多い。
  • 最近では合法的な配信が一般的になってきているたので、それを見ている人も多い。
    • これも統廃合が進んでおり、今はCrunchyrollNetflixAmazonが強い。
      • 以前はFunimationも独自のサービスを持っていたが、今はCrunchyrollによるVRVに吸収されている。
        • VRVは吹き替えコンテンツが多い。対して、Crunchyrollは字幕がほとんど。
      • Amazonはアニメの専用チャンネルを別料金で配信していたが、Prime Videoに一本化された。
    • これらの配信会社は今では配信すること以外に、制作に出資するケースが増えてきている。
    • Crunchyrollなどは日本の放送後一時間後の配信を謳っている。これは違法配信を牽制する狙いがあると思われる。
      • 時々ある期が見られていたのに、後から米国が除外されるような地域制限がかかることがある。(例:DOG DAYS、香港では見られるらしい。)
      • そもそも二期目以降が配信されない場合も。(例:干物妹!うまるちゃん、これはAmazonでは配信されているのでライセンス上の制約かもしれない。)
      • 映像はフライングで受け取っているんだろうけど、字幕つけてる人はすごい。
        • たまに、明らかに映像を見てないな、と感じ取れる字幕もあるので、この場合は多分台本か何かを訳しているのではないかと思われる。

内容の改変

  • 内容の改変に関しては昔から行われていた。
  • かつては4Kids Entertainmentなどにより内容の改変が行われてファンからの反感を買ったことがあった。
    • ONE PIECEでの銃やタバコなどの置き換えやストーリーの改変がひどすぎて話題になった。
  • カードキャプターさくらは放送版に大きな改変があった。(Cardcaptorsと呼ばれた。)
    • ストーリーの改変。
      • 小狼登場を最初に持ってきて、ストーリーもアクション中心に組み替えられた。
    • キャラクター同士の関係を描写するようなものもほとんどカット。
    • 後に日本版に準拠したものが発売された。
    • クリアカード編に関してはちゃんと日本版が配信されている。
  • 改変が加えられるのと同時に、オープニングなどの歌も英語の全く違う印象の歌に置き換えられることが多い。
  • 日本語放送(TVジャパンなど)で放送される音楽放送でアニメに関するコンテンツが除外される場合がある。
    • ミュージックステーションではどうぶつビスケッツのコンテンツがなかったことにされてた。(反対にあんなに自然にカットできる技術の方がすごい。)
      • 目を凝らしてみるとエンドでどうぶつビスケッツのメンバーが手を降っているのが見えた。
    • 放送権的にカットされることは珍しくないんだが、やはり腑に落ちない。
  • 作中の音楽などがカットされることがある。
    • 最近ではガールズ&パンツァーでこれがよく見られた。
      • カチューシャの歌はカット。
      • 劇場版のオープニングのGlory StoryはBGMに置き換えられた。

ファンの傾向

  • 年齢層は広い。
    • 10代以下から90代以上まで。
  • オタク(OTAKU)という言葉がネガティブな意味を持っている、と日本で報道されることがあるが、これは本当。
    • これは最近日本でも少し変わってきているかも……。
    • コンベンションなどに行くとOTAKUであることに誇りを持っている人を多数見ることができる。
  • 家族ぐるみでアニメを視聴している、というケースも多い。
  • ただし、やはり全人口から見るとマイノリティであることは変わりない。

イベント

  • 米国で一般的なのはコンベンションと言われるスタイルのイベント。
    • 日本でいう同人誌即売会とは違う。
    • 内容はアニメ上映、ゲーム大会などが中心で物販も行われる。
    • 配給会社などにとってはターゲットとなるファンが多く集まるので、プレス発表などをコンベンションで行うことが多くなってきている。
      • 規模が大きめの場合、来賓を招致する。
        • 比較的小さいコンベンションの場合は米国内より吹き替え声優を招待する場合が多い。
          • さらに大きくなるとそれに加え、日本から監督、アニメーター、声優などを招待する。
        • 来賓が絡むイベントはパネル、サイン会が中心。
        • 大きい規模のコンベンションの場合は、音楽関係のゲストを招き、コンサートを実施する。
        • 最近はファッション系来賓の招待も増えている。
  • 概して規模の大きなコンベンションはそれなりにスタッフも運営の経験値を積んでいるのでそれなりにスムーズな運営になる。
    • 対して小さいとスケジュールが安定していなかったり、いろいろなサプライズが多い。
      • それを醍醐味と見れるかでかなり受け止め方が変わってくると思う。
  • 最近の中堅から大型のコンベンションは良くも悪くも(アニメ業界側から見て)ビジネスになってきている。
    • なので、コンベンション側スタッフ(無給のボランティアスタッフであることも多い)から見て、給料をもらって仕事として来ている業界スタッフのモチベーションに温度差が感じられる場合もある。
    • 筆者は2000年初頭からコンベンション運営に関わっているが、これに関して言えば、ビジネス的なしがらみが少なかった2000年代を懐かしく感じることもある。
  • コンベンションの仕事というのは良くも悪くも属人的で、(特にボランティアの場合)スタッフ構成が変わるとガラッと人が抜けるようなケースも多いため、あまり急激な人事変更は行われない場合が多い。
    • 居心地が良ければ、比較的長く続ける人も多い。
    • なので、上層部的には如何に波風を立てずに後進にバトンを渡していけるかに苦心しているのではないかと想像。
  • コンベンションの運営は、非営利でやっていることも多いけど、運営が営利、スタッフの一部もしくは大半がボランティアという構成を取っている場合も。

嗜好

属性

  • 比較的スペクトルは広い。
    • ジャンプ系などは広報も強いため、浸透は強い。
      • ONE PIECEよりもNARUTOが強い。ONE PIECEは以前、前述のようにTV放送時に酷い改変がなされたため、半ば黒歴史化になってしまい、ファンが離れているのではないか。
    • いわゆる深夜アニメ系は一定のファン層はいるが、多い部類ではない。
      • 配信はされているため、決して知られていないわけではない、ただ、日本で通用する記号的なものを理解できていなく、ついてこれていない層も多いのではないか。
      • 尚、CLANNADなど、比較的好意的に受け入れられている作品もある。友人愛、家族愛などテーマが分かりやすかったせいか。
    • 日本ではあまり層が厚くない旧作やメッセージが強いものやアート的な作品が比較的強く支持されていたりする。
  • ジブリ系はやはり一定の評価がある。
    • 普通の店でも売られている場合が多いためか。
    • ただし、イベントなんかに出てくる人ではさすがにアニメは見ないけどジブリ系だけ、という人は少ない。

吹き替え声優

  • 最近は吹き替えをする声優がある意味アイドル化してきており、ファンも多くなってきている。

他ジャンル

  • 同時にアメコミのファンである人も多い。

音楽

  • 音楽の嗜好はアニソン専というような人は比較的少ない。
    • 日本の音楽全般やアニソンが好きな人は多いけど、それだけ好き、という人は比較的少ない感じがする。
      • それなりの年齢層以上の人は、昔はアニソンなどを簡単に聞ける環境になかったので、普通の傾向。
        • なので、若年層は変わってきているかも知れない。
    • ボーカロイドもファンが増えている。